三文小説

三文小説

嫌な話に巻きこまれたと思うときには、たいてい巻き込まれているものだ。
ちょっと良い話、なんてセリフではじまる小説が切ない結末を迎えるとしても
脇役の俺なんかは、こぎれいなセリフの嵐に付き合わされて
終演目前に、こき使われた自分に情けなくなったりして
ああ、やっぱり俺は猫みたいに、中途半端に端で生きるしかないんだな、
と思う繰り返しから開放されるのがバカンスのはずなのに。


大地をしたためる雑踏の中に

目を惹く華やかな色がちらほら、ちらほらと。

いつも仲間を踏みつけ、影を作り日光浴の邪魔をするあいつらは

一人輝いているはるかなる想いを

そっと刈り取っていつも立ち去っていく。

やがて僕等に個性がなくなったとき彼はもう来なくなった。

日光浴の邪魔をする奴はもういない。

永遠の緑をだれにも確かめられることもなく

それぞれが孤独の風にふかれている。

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Written By GloomyWind 2003/2/19
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